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1 突然白無垢を着せられて……2

مؤلف: ひなの琴莉
last update تاريخ النشر: 2025-07-30 01:16:02

『私、朝はパンがいいんだけど』

 妹の言葉がきっかけで、洋食も準備するようになった。

 あらかじめ下ごしらえしておいたポタージュスープ、スクランブルエッグ、ウインナー。焦げ目がつきすぎない程度に軽くパンを焼く。ジャムも全て手作りでなければ食べてくれない。

『育ててやったんだから、これぐらいのことは感謝してやりなさい。お母さんは旅館の女将として毎日働いているんだ。そうでなければお前はここで暮らす意味がないんだ。本当に役立たずの娘だな』

 父親に言われ、私は黙って言うことを聞いていた。

 両親は、北海道、湯の川にある大正九年の老舗旅館を営んでいる。

 表向きには愛想のいい母親だ。テレビや雑誌で美人女将として取り上げられたこともある。

 養子の私に対して悪魔のような表情を向けているとは誰も信じないだろう。

 メディアにもよく取り上げられ人気があった旅館だが、世界的に猛威を振るったウイルスのせいで観光客が遠のいたことが原因で経営が悪化。

 その後徐々に観光業界は回復してきたけれど、周りには新しい旅館ができてうちのお客様が減ってしまったのだ。

 宣伝もうまくいかずに、経営不振に陥っていた。

 負債が膨らみこのままでは父の代で潰れてしまうかもしれない。

 毎日のように殺伐とした空気が流れていた。そんなうっぷんを私に当たり散らすのだ。

『あんたを育てるために、どれぐらいの金がかかったと思ってるんだ』

『本当は男の子の養子が欲しかったんだ』

『いつも、いつも本当に役立たずの子だね!』

 私はその罵倒にただ黙って耐えるしかなかった。

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